2021/06/15 18:00
▼ birds melt skyとは
シンゴマエダ(Vo/Gt/Didgeridoo/Perc/Prog)、ミヤゾエアキ(Drs/Cho)による2ピースバンド。
都会的なデジタルミュージックでありながら、無機質ではない熱量と浮遊感、多幸感のある楽曲達が特徴。
ライブではツーピースというミニマムな構成だが、職人のような正確さと、マグマのようなダイナミクスを併せ持つミヤゾエアキの華麗なドラミング、
歌にディジュリドゥ、ギター、マニュピレートと自由に飛び回りながら、浮遊感と透明感溢れるシンゴマエダの包み込むような歌声に注目。
https://birdsmeltsky.com
▼ コラボ後記
「鳥が空に溶ける、とか、鳥が空を溶かす、とかそんな意味ですね。」
birds melt skyの意味を伺った際、シンゴマエダはこう答えた。
ずいぶんフワっとしているなと思ったのが正直な印象だった。
意味とかない名前なのかな、とも思った。
「鳥の形をした雲を見たらしいんですよ。」
ミヤゾエアキは続けた。
あぁ、なるほど、いいバンドだなと思った。
このやりとりだけで、2人の関係性、birds melt skyとはどういうバンドなのかを多少なりとも窺い知ることができたからだ。
「鳥が空に溶ける」と「鳥が空を溶かす」。
この2つはまったく意味合いが異なる。
一方は、体制に飲み込まれるような弱さや儚さ、無力さを思わせ、もう一方は体制を捻じ曲げんとする意志の強さや足掻き、泥臭さすらを感じる。
シンゴマエダは、おそらくそのどちらかを表現しようとしているのではなく、そのどちらもを表現しようとしているのだ。空に溶けようとも、空を溶かそうとも思っている。
だからこそ、意味を1つに絞っては言わなかった。
そして、その二律背反を成立させているのがミヤゾエアキである。
鳥の形をした雲をシンゴマエダが目の当たりにし、そこからbirds melt skyと名付けたことそれ自体にに意味があり、その先を追求しないというか、そういう次元でないところでの理解、信頼。
アンテナが多いがゆえに、放っておけば四方八方へ散ってしまいそうなシンゴマエダの表現を、俯瞰で理解し、大筋を作り、意味合いを持たせているのは、ミヤゾエの妙技とも言える。
実際に2人の生み出した曲を聞いてみても、そういった互いが互いを必要としている関係性は間違っていないように思える。
「デジタルミュージックでありながら、無機質ではない」と自身らも表現しているが、それはやはり互いの心が通った生きた作品だからだろう。
シンゴマエダが表現し、それをミヤゾエアキが表現するからこそ二律背反が、birds melt skyが成立している。
シンゴマエダ1人でも違う形になるし、今ここに誰かが加わったところで、それはbirds melt skyにはなりえないのかもしれない。
今回のコラボデザインにも、「月は光を反射する」という言葉があるが、月は光を反射しなければ光れない、ないし見えないという意味にも取れる。
シンゴマエダの表現に、ミヤゾエが光を当て、初めてbirds melt skyとなり、「HOPE」を表現できる。そして、やっと「未来を作る」のだ。またこれは、多くの人間に当てはまることでもある。
人は1人で生きてはいけない。1人では希望を持つことも難しい人だっている。
だからこそ、信頼できる家族や恋人や友人に、今一度向き合い、光を当て合うことが、未来を作る光になり得るのかもしれない。至極当たり前のようで、忘れがちなことである。
昨今のコロナ情勢においても、6ヶ月に渡り3作品をリリースするなど、立ち止まるどころか一歩づつ歩み続けている2人。今後も、2人がどういった未来を見せてくれるのかぜひ注目してほしい。